残留農薬について of GREEN WAY Ina.Nagano


 多摩動物園の昆虫室の昆虫たちが食べる餌は無農薬だそうです。ある時、市販の野菜を与えたところ、それを食べた昆虫が全滅したそうです。昆虫が死んでしまう様な野菜を食べても、人間がすぐに死ぬようなことはないでしょう。だから売られているわけですが、特別に無農薬で栽培されたものでない限り、虫たちが死ぬ程度の農薬が残留していることは十分に考えられます。ごく微量の農薬でも、花粉症のようなアレルギー性疾患の素因になっていることを示す動物実験結果があります。私たちが毎日その様な農薬を摂取していることは確かです。

乳幼児には大人用の残留基準では危険

 農薬の残留基準は、成人の体重(日本では50kgを計算の基礎にしている)と、国民全体の平均食物摂取量を基礎にして計算されています。子供は体重に比較して大人よりも多く食べます。また、種類も果物やジュースなどを多く取り、その果物には特に農薬が残留しやすいと言われています。アメリカの環境保護団体の一つである天然記念保護協会(NRDC)は、1989年に出したレポートで、乳幼児の場合、残留農薬によってガンになる確率が大人よりずっと高いと指摘しています。また、子供は大人に比べて「毒物を吸収しやすい」「解毒機能が十分発達していない」「細胞の分裂が盛んである」など、化学物質に弱い条件が揃っていると発表しています。それを考えると、妊婦や乳幼児、アレルギーなどで普通の食事が出来ない人には、より厳しい残留基準があって良いはずです。しかし、日本ではそうした問題意識はありません。

複合作用はまったく考えられていない

 農薬の許容一日摂取量(ADI)の設定は、ひとつの薬剤(単剤)だけが対象で考えられており、いくつもの薬剤の複合的な作用は考慮に入ってない。複合作用は、相乗効果、相加効果ばかりでなく、逆に、毒作用を打ち消しあったり、異質な化学物質を生成することもあります。また、農薬中毒には倦怠感、うつ、不安、焦燥などの精神的な影響もみられますが、動物実験で精神的な影響が確認できるかどうかも疑問です。

農薬は食べ物以外からも摂取される

 残留農薬基準を許容一日摂取量(ADI)ぎりぎりに設定した場合、食べ物以外から人体に入ってくる農薬も加わると、たちまち、ADIを越えてしまう。今の私たちの生活は、家庭用殺虫剤、除草剤、シロアリ駆除剤、衣料用防虫剤、街路樹の殺虫剤など、農薬だらけになっている。こうした状況の中では、食べ物に残留する農薬だけを考えていたのでは十分ではありません。残留農薬の基準を決めるのであれば、飲料水や空気から摂取する農薬も含めて総合的に考慮する必要があります。しかし、どの農産物に、どの様な農薬が、どれくらい残留しているのかという情報は、現在のところ全貌を知ることは非常に難しいです。

 『残中農薬データブック』植村振作・河村宏・辻万千子・冨田重行・前田静夫(三省堂) 参照